在留資格「特定技能1号」として日本での就労を目指す特定技能外国人は、日本語能力試験(JLPT-N4以上)又は国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)、そのほか、「日本語教育の参照枠」のA2相当以上の水準と認められるもの、該当分野の特定技能評価試験に合格することが必要です。
日本語能力に関し「日本語教育の参照枠」のA2相当以上のレベルであることを証明するための試験
特定技能の場合、現在受け入れている技能実習生とは別のフィリピンの認定送出機関と受入機関(受入企業)がRA(Recruitment Agreement)を締結後、DMW及びMWOの承認を経て入国手続きが進められ、直接雇用することができます。

特にフィリピンでは特定技能労働者の場合、NCⅡという国家資格の保有を義務付け、該当分野の専門教育や認定資格もない他国との差別化を図っています。

特定技能12分野について

特定技能12分野

介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

2020年4月からスタートした、新しい在留資格である「特定技能」は、14の業種に分かれていました。業種によって従事できる職種が決まっており、例えば同じ特定技能でも、「宿泊」の在留資格では「外食業」の業務をすることはできません。
特定技能の大きな特徴は、単純労働が可能という点です。また、在留期間の上限は通算5年と定められていますが、在留資格の更新制限が外れる(永住権取得に至る)ルートもあります。技能実習から特定技能への移行も可能です。

特定産業分野

2022年4月政府の閣議で、特定技能1号の対象となる14の分野について、製造業の3分野(素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業)を統合し、12分野に再編をするという方針を決定しました。現在、産業機械製造業は受入れ見込み数を超えるため、新たな在留資格認定証明書の発行を停止しています。

日本語能力試験

特定技能1号の日本語能力水準は、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有すること」を基本としつつ、受入れ分野ごとに業務上必要な能力水準を考慮して定めます。日本語能力の水準は国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)又は日本語能力試験(JLPT-N4以上)に合格する必要があります。
技能実習の職種・作業と対応しない特定技能の場合でも、日本語能力に関する試験は免除になります。例えば、製造業系の技能実習を良好に修了した外国人が外食の特定技能を希望する場合は、外食の技能試験のみ受験・合格すれば良いことになります。ただし、介護については他分野と異なり、「介護日本語評価試験」という上乗せの試験があることは注意が必要です。
国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
日本語能力試験(JLPT)

特定技能1号技能測定試験

特定技能評価試験とは、各職種ごとの業界団体が国が求める基準をもとに、「技能水準」と「日本語能力水準」の試験を作成し実施される試験です。現在フィリピンで試験が行われているのは下記の分野があります。
介護技能評価試験
飲食料品製造業技能測定試験
外食業技能測定試験
農業技能測定試験
宿泊業技能測定試験
自動車整備分野特定技能評価試験
造船・舶用工業分野特定技能1号試験
航空分野特定技能評価試験
ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験

日本語試験・技能試験の免除

技能実習2号を良好に修了した人(技能検定3級等への合格や、技能実習先から良好に修了した旨の評価がされている場合等)は、その在留資格取得に必要な日本語能力や技術水準に関わる試験などを免除されます。技能実習の職種・作業と対応しない特定技能の場合でも、日本語能力に関する試験は免除になります。
例えば、製造業系の技能実習を良好に修了した外国人が外食の特定技能を希望する場合は、外食の技能試験のみ受験・合格すれば良いことになります。
宿泊、漁業、飲食料品製造業の分野では、技能実習生の「技能実習2号」の修了者について試験免除で特定技能の在留資格に円滑に移行できる予定です。

介護分野における特定技能制度について

外国人介護人材受入れの仕組み
外国人介護人材受入れの仕組み

特定技能制度の概要
特定技能制度の概要



公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)では、介護分野における特定技能外国人の受入れに関する理解を深めていただくことを目的とし、必要な知識・留意事項等を全9章に分け説明をしています。
⇒ 介護分野における特定技能制度について

制度の概要

在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度として、平成31年4月1日に施行されました。

査証(ビザ)と「在留資格」

「査証」(ビザ)とは、日本に入国しようとする外国人が所持する旅券(パスポート)が真正であり、かつ日本への入国に有効であることを外務省・在外公館が確認するもので、それぞれ定められた条件の下で、当該の外国人の本邦への入国(滞在)が適当であることについての「推薦」という性質を持ちます。したがって、「査証」は、上陸審査を通過すればその役割も終わります。
これに対して、「在留資格」とは、外国人が日本で行うことができる活動等を類型化したもので、法務省(出入国在留管理庁)が外国人に対する上陸審査・許可の際に付与する資格です。

「特定技能」の特徴

「特定技能」以外にも日本国内で就労が可能な在留資格は複数ありますが、在留期間や活動内容、求められる要件等に違いがあります。「特定技能」は、在留期間が通算で上限5年までであること、受入れ機関(又は登録支援機関)による一連のサポートが義務付けられていること、受入れに際しては技能及び日本語能力を試験によって確認すること等の特徴があります。
なお、「技能実習」との違いについては、同制度が現場での実習を通じて日本の様々な技術を習得した後で帰国し、その技術を母国に広めるという国際貢献を目的とするのに対し、「特定技能」は、人材の確保が困難な一部の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を即戦力としての労働者として受け入れるという点が挙げられます。なお、技能実習(2号)を良好に修了した方が「特定技能」に在留資格を変更するというルートも開かれています。

技能実習と特定技能の制度比較

技能実習生と特定技能の費用比較

技能実習生と特定技能の費用比較

手続きについて

技能実習生では、フィリピンの認定送出機関と日本の外国人技能実習機構登録の受入監理団体(協同組合)がSPAと呼ばれる特別委任契約などの取り交わしDMW及びMWOでの承認後、様々な手続きを経て進められていきます。
特定技能の人材を受け入れるには、日本の受入監理団体、有料職業紹介事業者、登録支援機関を介すことなく、直接フィリピンの認定送出機関と受入機関(受入企業)とRA(Recruitment Agreement)を締結することになります。
在留資格認定証明書交付手続、在留資格変更許可手続、査証発給手続等の日本側での手続が必要となりますが、自社で行うことができない場合は外部の登録支援機関や行政書士に依頼することになります。
自社で行えば費用の発生もありません。

特定技能外国人に関する基準

特定技能1号、特定技能2号に共通の基準
① 18歳以上であること
② 健康状態が良好であること
③ 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
④ 保証金の徴収等をされていないこと
⑤ 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
⑥ 送出国で遵守すべき手続が定められている場合は、その手続を経ていること
⑦ 食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
⑧ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

受入機関について

受入機関に関する基準

特定技能雇用契約が満たすべき基準
① 分野省令で定める技能を要する業務に従事させるものであること
② 所定労働時間が、同じ受入機関に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同等であること
③ 報酬額が日本人が従事する場合の額と同等以上であること
④ 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的な取扱いをしていないこと
⑤ 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させるものとしていること
⑥ 労働者派遣の対象とする場合は、派遣先や派遣期間が定められていること
⑦ 外国人が帰国旅費を負担できないときは、受入機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされるよう必要な措置を講ずることとしていること
⑧ 受入機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
⑨ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

受入機関自体が満たすべき基準

① 労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
② 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
③ 1年以内に受入機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていないこと
④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
⑤ 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
⑥ 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入機関が認識して雇用契約を締結していないこと
⑦ 受入機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
⑧ 支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させないこと
⑨ 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に係る業務を行っている者などで、適当と認められる者であるほか、派遣先が①~④の基準に適合すること
⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
⑫ 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと
⑬ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

受入機関自体が満たすべき基準(支援体制関係)

※ 登録支援機関に支援を全部委託する場合には満たすものとみなされます。
① 以下のいずれかに該当すること
ア 過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上。以下同じ。)を選任していること(支援責任者と支援担当者は兼任可。以下同じ)
イ 役職員で過去2年間に中長期在留者(就労資格のみ。)の生活相談等に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
ウ ① ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者で、役職員の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること
② 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を有していること
③ 支援状況に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
④ 支援責任者及び支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
⑤ 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
⑥ 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していること
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

支援計画が満たすべき基準

① 支援計画にア~オを記載すること
ア 支援の内容
 ・ 本邦入国前に、本邦で留意すべき事項に関する情報の提供を実施すること
 ・ 出入国しようとする飛行場等において外国人の送迎をすること
 ・ 賃貸借契約の保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援、預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること
 ・ 本邦入国後に、本邦での生活一般に関する事項等に関する情報の提供を実施すること
 ・ 外国人が届出等の手続を履行するに当たり、同行等をすること
 ・ 生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること
 ・ 相談・苦情対応、助言、指導等を講じること
 ・ 外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること
 ・ 外国人の責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除される場合において、新しい就職先で活動を行うことができるようにするための支援をすること
 ・ 支援責任者又は支援担当者が外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し、労働関係法令違反等の問題の発生を知ったときは、その旨を関係行政機関に通報すること
イ 登録支援機関に支援を全部委託する場合は、委託契約の内容等
ウ 登録支援機関以外に委託する場合は、委託先や委託契約の内容
エ 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
オ 分野に特有の事項
② 支援計画は、日本語及び外国人が十分理解できる言語により作成し、外国人にその写しを交付しなければならないこと
③ 支援の内容が、外国人の適正な在留に資するものであって、かつ、受入機関等において適切に実施することができるものであること
④ 本邦入国前の情報の提供の実施は、対面又はテレビ電話装置等により実施されること
⑤ 情報の提供の実施、相談・苦情対応等の支援が、外国人が十分理解できる言語で実施されること
⑥ 支援の一部を他者に委託する場合にあっては、委託の範囲が明示されていること
⑦ 分野に特有の基準に適合すること(※分野所管省庁の定める告示で規定)

支援項目

登録支援機関

Benchstone
Benchstoneにて

フィリピン出国前
フィリピンの空港にて

成田空港
成田空港にて


支援計画の概要

受入機関は、1号特定技能外国人に対して「特定技能1号」の活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援の実施に関する計画「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、当該計画に基づき支援を行わなければなりません。

支援計画の作成

・受入機関は、在留諸申請に当たり、支援計画を作成し、当該申請の際にその他申請書類と併せて提出しなければなりません。
※ 特定技能1号に関する在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請等

支援計画の主な記載事項

・職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援として必要であるとして省令で定められた10項目の実施内容・方法等
・支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職等
・支援の実施を契約により他の者に委託する場合の当該他の者の氏名及び住所等
・登録支援機関(登録支援機関に委託する場合のみ)

支援計画実施の登録支援機関への委託

・受入機関は、支援計画の全部又は一部の実施を他の者に委託することができます(支援委託契約を締結)。
・受入機関が支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、外国人を支援する体制があるものとみなされます。
・登録支援機関は、委託を受けた支援業務の実施を更に委託することはできません。(支援業務の履行を補助する範囲で通訳人などを活用することは可能)

届出について

フィリピン人特定技能労働者

フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関


フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関


受入手続きの流れ

受入手続きの流れ

受入手続きの流れ


フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関


フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関

フィリピンの認定送出機関



a:1911 t:1 y:6