日本においてフィリピン人が特定技能労働者として就労するには、日本の入国要件とフィリピンの出国要件を満たす人材を必要な手続きに従ってフィリピンの認定送出機関と契約して進める必要があります。
技能実習生では、フィリピンの認定送出機関と日本の外国人技能実習機構登録の受入監理団体(協同組合)がSPAと呼ばれる特別委任契約などの取り交わしDMW及びMWOでの承認後、様々な手続きを経て進められていきます。
特定技能の人材を受け入れるには、日本の受入監理団体、有料職業紹介事業者、登録支援機関を介すことなく、直接フィリピンのPOEA認定の送出機関と受入企業とRA(Recruitment Agreement)を締結することになります。
在留資格認定証明書交付手続、在留資格変更許可手続、査証発給手続等の日本側での手続が必要となりますが、自社で行うことができない場合は外部の登録支援機関や行政書士に依頼することになります。自社で行えば費用の発生もありません。
日本での在留期間は、技能実習生は3年(優良事業者の場合は5年)、特定技能は5年間です。特定技能評価試験の合格証の有効期限は、合格発表日から10年です。最初は技能実習生として、その後特定技能に切り替えて在留することも可能です。
DMWについて
海外で働くフィリピン人の権利を守るために、フィリピンにはDMW(移住労働者省、旧POEA)という役所があります。フィリピン人が、外国で就労するに際して、事前に外国の勤務予定先の審査し、当該勤務先の現地での登録情報や、勤務先(雇用主)とフィリピン人労働者との契約内容が適正かどうかがチェックされます。日本において手続きをする場合、DMWの海外出先機関であるMWO(移住労働者事務所、旧POLO)で行うことになります。
・ MWO(移住労働者事務所、旧POLO)
〔所在地〕東京都港区六本木5-15-5
〔電話番号〕03-6441-0428、03-6441-0478
・ 在大阪フィリピン共和国総領事館
〔所在地〕大阪府大阪市中央区淡路町4-3-5 URBAN CENTER御堂筋7階
〔電話番号〕06-6575-7593
MWOに関わる主な必要書類
書類を返信用レターパックを同封の上、MWOへ郵送する必要があります。
・申請フォーム SSW Form No.06-2019V1(Annex E)
・日本の監督官庁等による営業許可証など(翻訳者署名のある英語訳書付き)
・会社概要(フィリピン人の従業員数、代表者、事業概要、財務状況など)
・SSW Form No.02-2019V1(Annex D),SSW Form No.02-2019V1(Annex D1)
・登記簿謄本(翻訳者署名のある英語訳書付き)
・労働者の職務内容、義務、責任および同種の職種に従事する日本人従業員の給与額の証明等 SSW Form No.01B-2019V1(Annex C2)
・受入機関と送出機関(Sending Organization)の間の採用に関する契約書(公正証書にすること)
・送出機関のライセンスの写しと送出機関のオーナーのパスポートの写し
・受入機関等のオーナー/代表者のパスポートの写し(代表者等以外が調印している場合は要委任状)
・求人概要、求人数、求人ごとの報酬額などを示した求人票 SSW Form No.01-2019V1(Annex C)
・給与明細 SSW Form No.01-2019V1(Annex C1)
・雇用契約書(Annex B)
・その他状況に応じて指定する書類
MWOでの手続きの一般的な流れ
1.受入機関等が必要書類の準備をする
2.受入機関等が完成した申請書類等をMWOへ郵送で提出する
3.MWOが申請受理順に申請書類を審査
4.全ての書類が審査上適切である場合、雇用主等へのインタビューを英語で実施(英語通訳の利用が可能)
5.必要に応じてMWOによる実地調査が行われる
6.インタビューや実地調査が終了したら、登録のために必要なRecommendatory Memorandum等の書類が発行送付される
主な流れについて
1.送り出し機関と人材募集・雇用に係る募集取決め(Recruitment Agreement)を締結
日本の受け入れ機関が、フィリピン国籍の方をフィリピンから新たに特定技能外国人として受け入れるに当たって、フィリピンの制度上、フィリピン政府から認定を受けた現地の送出機関を通じて人材の紹介を受け、採用活動を行うことが求められるとともに、送り出し機関との間で人材の募集及び雇用に関する互いの権利義務を明確にした募集取決めの締結が求められています。また募集取決めは、日本の公証役場での公証を経たものになります。
2.MWOへの提出書類の準備・提出
受け入れ機関は、必要書類(労働条件等を記載した雇用契約書のひな形、上記1で作成した募集取決め、求人・求職票等)をMWO等に郵送し、所定の審査を受け、雇用主(特定技能所属機関)としてDMWに登録される必要があります。 またMWO等への提出書類については、所定の様式に則って作成することが求められています。
フィリピン国籍の方を特定技能外国人として受け入れるためには、在留資格認定証明書交付手続、在留資格変更許可手続や査証発給手続といった日本側の手続が必要となります。これに加えフィリピン側でも一定の手続が必要とされていますので、この手続は日本側の手続ではありませんが、この点も含めて以下に手続の概要を説明します。 なおフィリピンから新たに受け入れる場合に必要となる在留資格認定証明書の有効期限は、交付された日から3か月となっておりますのでフィリピン側の手続に必要と見込まれる期間も考慮し、同証明書が有効期限切れとならないよう御留意願います。
3.MWO等での面接
上記2の審査を経た後、受け入れ機関の代表者の方又は委任された従業員の方はMWOに赴き、労働担当官による英語での面接を受ける必要があります。なお、この面接は、コンサルティング業者(行政書士を含む)や登録支援機関の方が代わって受けることが認められていませんので御注意ください(面接に通訳を同席させることは妨げられていません)。 また必要に応じてMWO等による受け入れ機関への実地調査が実施されます。
4.DMWへの登録
上記2の審査及び上記3の面接の結果、受け入れ機関がMWO等により自国民の雇用主として適正であるとの判断がなされた場合、MWO等から認証印が押印された提出書類一式及び推薦書(Recommendatory Memorandum)が受け入れ機関宛てに郵送されることとなっています。 受け入れ機関は、送り出し機関を通じてこれらの書類一式を本国のPOEAに提出することによって、DMWにて雇用契約で定める予定である労働条件等の内容が確認され、受け入れ機関が雇用主としてDMWに登録されるとともに、求人情報が登録されます。 DMWへの登録後、提出した雇用契約書のひな形にDMWの認証印が押印され、送り出し機関を通じて受れ入れ機関に対して返送されます。つまり上記2~4の手続を終えるとMWO及びDMWの認証印が押印された雇用契約書のひな形等が受け入れ機関の手元に返送されます。登録の結果、受け入れ機関はフィリピン国籍の方の採用活動に着手することが可能とされています。
※ 受け入れ機関が特定技能所属機関として既にDMWに登録されている場合は、募集取決めの締結(上記1の手続)、DMWへの登録手続(上記2~4の手続)は不要です。ただし、特定技能所属機関が既にDMWに登録されている場合であっても、登録された雇用契約書から変更された契約条件をもって新たにフィリピン国籍の方を特定技能外国人として受け入れる場合や求人数を増やす必要がある場合は、上記2の求人・求職票の承認手続が必要です。
5.雇用契約の締結
送り出し機関は、上記4で登録された求人情報を基に適当な人材を募集し、受け入れ機関は、送り出し機関から人材の紹介を受けて特定技能に係る雇用契約を締結することとなります。
6.在留資格認定証明書の交付申請
受け入れ機関は、地方出入国在留管理官署に対し、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付申請を行ってください。同証明書が交付された後、雇用契約の相手方に対し、同証明書の原本を郵送してください。
7.査証発給申請
雇用契約の相手方で、特定技能外国人として来日予定のフィリピン国籍の方は、上記6で郵送した在留資格認定証明書を在フィリピン日本国大使館に提示の上、特定技能に係る査証発給申請を行うことになります。
8.出国前オリエンテーション(PDOS:Pre-Departure Orientation Seminar)の受講
特定技能外国人として来日予定のフィリピン国籍の方は、本国の海外労働者福祉庁(OWWA:Overseas Workers Welfare Administration)が実施する出国前オリエンテーションを受講することが必要とされています。出国前オリエンテーションは、半日程度で終了します。なお出国前オリエンテーションの受講申込は、送り出し機関を通じて行なわれます。また出国前オリエンテーションの受講申込時に、上記6で交付された在留資格認定証明書が有効期限内である必要があります。 その他、e-reg(e-registration)という海外雇用庁の電子登録システムやPEOS(Pre-Employment Orientation Seminar)という雇用前オリエンテーションセミナーの証明書は、海外雇用庁から海外雇用許可証(OEC)を取得するために必要で、PEOSはオンラインで行うことができます。雇用前オリエンテーションセミナーでは、労働者は海外フィリピン人労働者であることの要件や権利などについて学びます。
9.健康診断の受診
特定技能外国人として来日予定のフィリピン国籍の方は、健康診断を受診する必要があります。健康診断は半日程度で終了します。なお健康診断の受診申込は、送り出し機関を通じて行なわれます。
※ 査証発給申請(上記7の手続)と出国前オリエンテーションの受講(上記8の手続)及び健康診断の受診(上記9の手続)は、同時並行で行うことが可能です。
10.海外雇用許可証(OEC:Overseas Employment Certificate)の発行申請
OECは、フィリピン側の手続を完了したことを証明する文書とされており、特定技能外国人として来日を希望するフィリピン国籍の方は、上記7で査証を取得し、上記8の出国前オリエンテーションの受講及び上記9の健康診断の受診後、送出機関を通じOECの発行をDMWに申請します。その上でフィリピンを出国する際、出国審査において、取得したOECを提示することが必要です。なおOECの発行申請時に、上記6で交付された在留資格認定証明書が有効期限内である必要があります。
フィリピンでは介護分野の特定技能労働者は、国家試験であるCaregiving NCⅡの取得を義務化されておりOECの申請時に必要になります。
11.特定技能外国人として入国・在留
上記の手続を行ったフィリピン国籍の方は、日本到着時の上陸審査の結果、上陸条件に適合していると認められれば上陸が許可され、「特定技能」の在留資格が付与されます。
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